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KING of KINGS

内村、史上初の全日本選手権6連覇



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                                       大会6連覇を達成し、笑顔を見せる内村航平




  「体操全日本選手権・最終日」(12日、国立代々木競技場)

 世界選手権(9~10月・ベルギー)代表第2次選考会を兼ねて個人総合決勝を行い、男子は既に代表に決まっているロンドン五輪金メダリストの内村航平(24)=コナミ=が予選との合計で182・350点をマークし、史上初の6連覇を達成した。決勝の成績だけで争った女子は17歳の笹田夏実(東京・帝京高)が55・500点で初優勝し、3度の女王に輝いた母、弥生さん(旧姓加納)との親子全日本制覇となった。

 内村に感慨はなかった。「それだけの練習をやってきている。特に(記録は)意識していなかった」。6連覇は努力を積み重ねた結果で、通過点。むしろ、右肩と右足首の故障から復帰した半年ぶりの大会を乗り切った安堵(あんど)感がにじんだ。

ほぼ完璧だった予選と違い、決勝はあん馬で落下するミスが出た。演技後は前日はなかった疲労を感じたそうで「体操は1日休むと戻すのに3日かかるといわれている。2カ月も何もしなかったので、体は素直」と痛感した。

 担当トレーナーによると、酷使してきた右肩の腱(けん)は「いつ切れてもおかしくない状態」だった。初めて長期間の休養を取り、体操では珍しいダンベルを使ったトレーニングで筋力を再強化。3年後の五輪を見据え体をつくり直す途上にいる。

 失敗の予感がした跳馬は予選から難度を下げ、床運動はとっさの判断で技を抜いて転倒のリスクを回避した。「難度を一度下げてミスなくできてから、また上げていけばいい」。内村の時代はしばらく続く。







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内村航平を刺激する危機感
進化を止めない絶対王者


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 体操の世界選手権(9月30日開幕、ベルギー・アントワープ)の第2次選考会を兼ねた個人総合の全日本選手権・最終日が12日、東京・国立代々木競技場で行われ、初日トップだった内村航平(KONAMI)が6種目2日間総合182.350点で、男子として史上初の6連覇を達成。2位には加藤凌平(順大)が178.850点で入り、3位には田中佑典(KONAMI)が177.300点で続いた。

 内村はすでに世界選手権代表に内定しており、そのほかの男子5人、女子4人の代表は、6月のNHK杯と全日本種目別選手権で決まる。


“もっと上の自分”を目指した演技”

「まだまだかなわないなってことは分かっていました。本当に雲の上の存在です」

 加藤は内村の存在をこう語った。
「雲の上の存在」――まさにこの言葉が似合う内村の圧勝劇だった。予選、決勝の2日間ともに唯一となる90点超えを記録し、2位の加藤に3.500点差をつけた。他を寄せ付けない内村の貫禄の演技に、満員の観客の視線はくぎ付けとなった。
 鉄棒ではG難度の離れ技「カッシーナ」を決めるだけでなく、試合で初となる降り技の「後方伸身2回宙返り3回ひねり」で鮮やかに着地して見せた。跳馬では、予選で高難度の「ヨー2」(前転とび前方伸身宙返り2回半ひねり)に成功。内村自身も「特にうれしかった」と、自然とガッツポーズも飛び出した。
 また、今季のルール改正を受けて、演技構成を変えたあん馬と平行棒では新技にも挑戦。あん馬ではセア倒立という倒立技の回数を2回に増やし、平行棒では片腕で棒をつかんで体を上下させる「マクーツ」を導入した。右肩と右足首のけがで約半年ぶりの実戦となった内村だが、その演技はブランクを感じるどころか、さらなる進化を見せた。

 これには水鳥寿思男子強化本部長も驚いた様子で、「五輪でチャンピオンになり、その後、けががあって冬場の大会に出られないという苦難を経験した中で、とてもモチベーションを維持するのは難しいもの。しかし、新しい技に挑戦するなど“もっと上の自分”を目指したいという部分はさすが世界チャンピオンだなと思いました」と内村の演技をたたえた。


“口に出るのは反省の弁ばかり「五輪では勝てない」”

 しかし、試合後の内村の言葉からは反省の言葉しか出てこない。
「休んでいた分、体力的に問題がありました。体操は1日休むと戻すのに3日かかると言われます。今回、(体力は)戻っていると思っていましたが、体は正直で『戻っていませんよ』という感じでした。ゆかでは、1節目のシリーズで、普段ならやらないようなミスをして『何をやっているんだ』って感じでしたし。今回は結果よりも内容重視でしたので、ミスが出てしまったのはダメです。2日間を通じて、ミスなくできるように仕上げないと五輪では勝てない」

 大会前、「リオデジャネイロ五輪に向けたスタート。リオにつながる演技をしたい」と語っていた内村だが、完璧ではなかった演技に「良いスタートを切ったというわけではないと思います」と悔しさを募らせた。


“次世代エース台頭への危機感”

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 昨夏のロンドン五輪で世界王者になった内村がなお、進化を続けるのには2つの理由がある。
 1つは次世代エースの台頭である。
 今回2位の加藤がその一人。19歳の加藤は、けがの内村に代わって出場した4月のワールドカップ東京大会で2位に入った。加藤自身もロンドン五輪のメダリストや入賞者の中で戦っての銀メダルに世界を意識するようになったという。今大会は、直前の練習で背中を痛め、制限をかけながらの演技となったというが、平行棒では内村を上回る15.450点を出した。また、最終種目の鉄棒では内村の前で着地をぴたりと決め、「疲労はあったが、直前で凌平が着地を決めたので、意地でも3回ひねってやろうと思いました」と、王者を本気にさせる演技を見せた。「怖いけど、頼もしい存在」と認める19歳に内村は「このまま順調に進化されると、すぐに抜かれてしまう」と危機感を募らせた。

 また、「内村選手に匹敵する個人総合の力がある」と水鳥強化本部長が認める田中佑や、「どうせ負けるなら負けたい選手」と内村が話す野々村笙吾(順大)が内村の背中を追いかける。水鳥強化本部長も「彼らが下から上がってくるのも内村選手のモチベーションになっているのでは」と分析する。


“悲願の団体金メダル”

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もう1つの理由が、悲願である五輪での団体金メダルである。北京、ロンドンで追い求めながら、2大会連続の銀メダルに終わったことに内村は常々、リオでは「団体でリベンジしたい」と語っていた。そのためには日本チームの底上げが急務。
「後輩たちが力をつけてきているので、自分がさらにDスコア(演技価値点)を上げてやっていくことで、日本のチーム力は上がっていく。だからやっていかなくては」
 冷静な表情でこう語る内村からは、自らをさらに進化させることで、後輩たちの成長を促そうという強い気持ちが感じられる。日本のエースとして、ますます強くその手でチームをけん引する。

 内村は4月に長女が誕生し、プライベートで新たなステージに立った。「まずは1つ1つの試合でミスを無くしていく。その上で、五輪代表、五輪でのメダルがある」と話す絶対王者が、今まさにリオ五輪に向けても新たなステージを歩み始めた。
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by sr-moko | 2013-05-14 16:38 | 内村航平or体操競技 | Comments(0)